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沈黙した笹山東大名誉教授 ──何のための歴史論か 4 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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沈黙した笹山東大名誉教授
──何のための歴史論か 4
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 私は運動家ではありませんが、やむにやまれぬ思いから、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンを、ひとりで始めることにしました。いまのままでは悪しき先例が踏襲されるばかりです。趣旨をご理解の上、友人知人の皆様への拡散を切にお願いします。
https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB

 さて、以下、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


第2章 有識者ヒアリングおよび「論点整理」を読む

第5節 何のための歴史論か──「女性宮家」創設論のパイオニア・所功京産大名誉教授


▽4 沈黙した笹山東大名誉教授
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 根拠のひとつは、「養老令」それ自体にあります。

「継嗣令」は「令」の巻第五に定めがありますが、巻第七に「公式令(くうじきりょう)」という、公文書の様式などを定めた諸規定があり、「皇祖」「先帝」「天子」「天皇」などの文字が文章中に使用される場合は、行を改め、行頭に書いて、敬意を表す「平出(ひょうしゅつ)」や、「大社」「陵号」「乗輿」「詔書」「勅旨」などの場合は、一字分を空けて敬意を表す「闕字(けつじ)」について、説明されています。

 けれども、いずれの場合も「女帝」は登場しません。「継嗣令」の原注を「女帝の子」と読むことに無理があるのではないか、というのが佐藤氏の指摘です。たしかに「女帝の子」と読んでは、第1条全体の意味がとれなくなります。

 佐藤氏だけでなく、同様の疑問は古代史の専門家にもあるようです。

「養老令」施行から2年後の天平宝字3(759)年6月に、光明皇太后が淳仁天皇にお言葉を発せられたことが『続日本紀』に既述され、

「是(ここ)を以(もち)て先考(ちちみこ)を追ひて皇(すめら)とし、親母(はは)を大夫人(おおみおや)とし、兄弟姉妹(あにおとあねいも)を親王(みこ)とせよ」

 とあります。この最後のくだりについては、「継嗣令」との関連が想起されますが、『続日本紀3』(新日本古典文学大系14、青木和夫ら校注、1992年)では、所先生や日本思想大系とは別の解釈がされています。

 すなわち、新日本古典文学大系の校注には、「継嗣令」の

「凡皇兄弟皇子、皆為親王〈女帝子亦同〉」

 が引用され、

「舎人親王を天皇とするので、その子女(淳仁の兄弟姉妹)も親王・内親王と称させる」
と記されています。「女帝の子」という解釈は採られていません。

 けれども所先生は、あくまで「女帝の子」と読み、解釈しています。

 たいへん興味深いことに、この新日本古典文学大系の校注者の1人が、女性天皇・女系継承を容認する皇室典範有識者会議で、ほとんど唯一の皇室史の専門家として、委員を務めた笹山晴生東大名誉教授(日本古代史)でしたが、不思議にも笹山先生が女系継承容認論者の論拠を批判したとは聞きません。

 もっとも重要なポイントなのに沈黙しているのです。笹山先生は若き日に、60年安保闘争を体験し、警察隊との衝突で死亡した急進的活動家の全学連葬が行われたときには、遺影を掲げて先頭に立ったとも伝えられますが、黙して語らないのは思想的な背景があるのでしょうか?

 逆に能弁な関係者もいます。

 有識者会議で座長代理を務め、平成24年1月来、女性宮家検討担当内閣官房参与の立場にある園部逸夫元最高裁判事は、著書の『皇室制度を考える』(2007年)で女性天皇・女系継承容認論を展開し、次のように「継嗣令」に言及しています。

 養老令の継嗣令第一条は、女性天皇の子についても男性天皇と同様、親王とする旨の定めがされていた。この時代、一定の身分以上の皇親女子の配偶者は皇親男子に限られていたので、女性天皇に子があるような場合でも、その子は皇統に属する男系の子でもあることになるが、当該子の身分については、天皇が女性の場合は女性天皇を基準に定められ、その意味では女系の考えにより定められる制度となっていた」

 引用の前半は「継嗣令」の読み違いが明らかで、それゆえ、後半はまったく意味不明の文章が続いています。

 これでは「女性宮家」創設の議論が迷走するのは、目に見えています。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります

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