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オバマ大統領の一神教的正義──ビンラディン殺害に狂喜するアメリカ [アメリカ]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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 オバマ大統領の一神教的正義
 ──ビンラディン殺害に狂喜するアメリカ
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「正義は成し遂げられた(Justice has been done.)」。1日深夜、国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディン容疑者の殺害について、声明を発表したオバマ大統領はそう言い切りました。
http://www.whitehouse.gov/blog/2011/05/02/osama-bin-laden-dead

 喜びに沸く国民はグランウンド・ゼロに集結して「USA!, USA!」を連呼し、メディアは歴史的成果と称賛しています。


▽1 アラブの衰退をもたらした十字軍遠征

 大統領の演説にもあるように、罪なき数千の人々や子供たちを死に追いやったテロリストの罪を問うことは、たしかに正義にほかなりませんが、命の奪い合いはテロルの終わりどころか、「目には目を、歯には歯を」の報復テロを予感させています。

 アメリカの正義とテロ組織の正義は、それぞれの一神教を背景として、交わり合うことがきわめて難しいからです。力による作戦の成功は、失墜していた大統領の支持率を上げ、再選を確実にしたかも知れませんが、両者の和解をもたらすことは困難です。

 たとえばレバノン生まれのジャーナリスト、マアルーフの『アラブが見た十字軍』には、私たちの常識とは異なる歴史が描かれています。

 11世紀末、「野蛮」なキリスト教徒が「宗教的熱狂」に駆られて中東に遠征し、「聖地」エルサレムを奪還しようとしました。ローマ教皇ウルバヌス2世の提唱に始まり、キリスト教徒たちは200年間、地中海東岸を襲い、占領し、破壊と殺戮のかぎりを尽くしました。キリスト教徒にとっては「聖戦」ですが、アラブ人には紛れもない「侵略」で以後、アラブの衰退が始まりました。


▽2 かつてアメリカは戦友だった

 戦争は多くの場合、異なる民族と文明が出逢い、ときに融合し、ときには激しく衝突する文明の十字路が発火点です。若き日のビンラディンが宗教的意識に燃えて馳せ参じたのも、第二次大戦後の米ソ対立を経て、ソ連軍の侵攻に屈していた、シルクロードの要衝アフガンでした。

 ビンラディンはサウジの富豪の息子で、中東諸国の多くの若者とともに、ソ連との「聖戦」に加わりました。サウジやパキスタンが推進する「イスラム同胞を救え」というキャンペーンの背後にはアメリカがいました。このときアメリカはビンラディンたちの敵ではなく、むしろ戦友でした。

 しかし湾岸戦争で状況は変わります。

 対イラク戦をめぐって、ビンラディンはサウジ王室と対立しました。アフガン帰りの兵士を率いてイラク軍と戦うことを進言したのですが、王室は拒否し、代わりに異教徒アメリカの軍隊を国内に駐留させたのです。


▽3 破壊と殺戮が終わる日

 ビンラディンは王室およびアメリカと敵対することになり、その後は国際的なネットワークを駆使して、「真のイスラム国家」建設のためビンラディンは動き出します。

 母国を追われ、やがてアフガンに身を寄せたビンラディンはアメリカに対して宣戦を布告します。1993年にはニューヨークの世界貿易センタービルで、98年にはケニア、タンザニアのアメリカ大使館で爆弾テロが発生しました。

 翌年、国連はアフガニスタンに対する経済制裁を決議しました。「容疑者」ビンラディンの引き渡しが要求されましたが、タリバンは拒否します。「侵略者」ソ連と闘った恩人であり、客人をもてなすというイスラムの伝統を重視するからです。

 この結果、アフガンのタリバン政権は2000年末、国連を追放され、そして翌年9月、アメリカで同時多発テロが起こり、報復のアフガン空爆が始まりました。

 ビンラディン殺害の発表に対して、同時多発テロ当時のニューヨーク市長、ジュリアーニ氏は、「イスラム過激派の象徴ともいえる人物を排除できたことは長期的には大きな勝利だが、短期的には、報復の危険性を高めることになる」と報道陣に語りました。

 破壊と殺戮が終わる日はいつ来るのでしょうか。


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世界を知らないアメリカの若者たち [アメリカ]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」からの転載です。


 共同通信が、アメリカの雑誌「ナショナル・ジオグラフィック」などが発表した調査結果を伝えています。タイトルは「日本の位置、半数分からず、米国の18-24歳調査」となっています。
 http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2006050301000226_Lifestyle.html

 記事によると、日本の位置を地図上で正確に示せたのは49パーセントで、中国については69パーセント、インドは53パーセントでした。

 これだけ読むと、日米関係がこれだけ深まっているのに、アメリカ人は日本を知らない、という調査のように見えますが、そう考えるのは早計です。

 朝日新聞は、「米国の若者、イラクの位置正解37パーセント」という記事になっています。
 http://www.asahi.com/international/update/0503/006.html

 中東の白地図を示して、イラク、サウジアメリカ、イスラエル、イランの4カ国の位置を、4カ国とも正しく答えられたのは14パーセントにすぎず、44パーセントは1カ国も正しく答えられなかったというのです。

 要するに、世界の地理の知識が低い、ということなのか、というと、それだけでもないようです。

 もともとの調査結果は、「National Geographic」のサイトからダウンロードできます。
 http://news.nationalgeographic.com/news/2006/05/0502_060502_geography.html

 これによると、2003年のイラク進攻以来、毎日のようにニュース報道があるのに、63パーセントの若者はイラクの位置を知らず、地震、津波による深刻な被害が伝えられたあとだというのに、4人のうち3人はインドネシアがどこにあるのかを知らないということのほかに、インドネシア国民の多くがイスラム教徒であることを、アメリカ人青年の75パーセントは知らない、というのです。

 こうなってくると、単なる地図上の知識だけでなく、世界を一極支配する超大国アメリカの次代をになう若者が、空恐ろしいことに、世界をほとんど知らないらしい、という実態が浮かび上がってきます。

 これは共同通信が伝えるような、「日本の位置を知らない」どころではありません。ついでにいえば、共同通信の配信記事は日本国内向けの視点から調査結果を解釈しているわけで、その意味ではアメリカの若者と同様に世界的視野が欠けています。

 それはともかく、調査によると、アメリカの若者は、中国の人口がアメリカの人口に比べてどれだけ大きいかを知らず、74パーセントは、世界でもっとも使用人口の多い言語は中国語などではなく、英語だと信じているというのです。

 半数がニューヨークの位置が分からない、などというのは、お笑いだとしても、アメリカの若者の多くが自国中心で、これほどまでに世界のことを知らないという事実は、ただただ驚くばかりです。

 そういう国がよその国や、世界中のことに、深くコミットして、大丈夫なんでしょうか。

 しかしアメリカばかりを批判することはできないでしょう。戦前、日本と中国の対立が激化していったとき、文官養成の最高機関である東京帝国大学法学部に中国語のできる中国研究者はいなかったという事実があるからです。日本人の中国観は偏り、時として正確な知識もなしに中国を蔑視していたといわれます(城野宏『祖国復興に戦った男たち』など)。

 いまだって大して変わらないのは、共同通信の内向きの記事が証明しています。
タグ:アメリカ
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対イラク戦闘終結宣言──「解放者」ブッシュの十字軍魂 [アメリカ]

以下は「神社新報」平成15年5月12日号からの転載です


宗教情報
対イラク戦闘終結宣言
「解放者」ブッシュの十字軍魂


 ブッシュ米大統領は米東部時間五月一日夕刻、カリフォルニア沖を航行する空母エイブラハム・リンカーン艦上で、イラク戦争の「戦闘終結」を宣言した。事実上の「戦勝宣言」で、船橋には「ミッション・コンプリーテッド(任務終了)」のカラフルな横断幕が掲げられてゐたといふ。

 それにしても、戦闘終結を宣言するためにわざわざ戦闘機に乗り込み、ペルシャ湾での任務を終へて帰国の途にある空母に、現職大統領として初の「ワイヤー着艦」を敢行したブッシュ。映画『トップガン』の向かふを張る心憎いパフォーマンスといふべきなのか。


 奴隷解放のリンカーンになぞらへる

「合衆国と同盟国は勝利した」
「専制君主は滅んだ。イラクは解放された」。

 二十五分の演説で、大統領はイラクの「解放」を高らかに謳ひあげ、同時テロから十九カ月で「世界は変はった」と明言した。甲板に集まった二千人の乗組員から、何度も拍手と歓声がわき上がり、演説のために持ち込まれたといふクレーン式のカメラが将兵の晴れやかな表情を追った。

 ブッシュは、「専制君主」のイラクを「解放」した自分を、百四十年前の南北戦争中に奴隷解放を宣言した第十六代大統領リンカーンになぞらへてゐたのであらうか。であればこその空母リンカーンでの「戦闘終結宣言」であったのだらうか。

 ブッシュは演説中、「自由(フリーダム)」「自由(リバティ)」「公正(ジャスティス)」といふ建国以来の米国型民主主義の理念に繰り返し言及するとともに、過去をふり返り、いまと比較し、「解放」を強調した。

「第二次大戦で米軍はノルマンディー上陸を敢行し、硫黄島を強襲した。われわれの品位と理想主義はその敵を同盟国に変へた。その性格はいまも息づいてゐる。
(フセインの)銅像が倒される中で、われわれは新時代の到来を目撃した。ナチス・ドイツや日本帝国をうち負かしたときには、主要都市への爆撃によって国を破壊することを余儀なくされ、敵の指導者も生き残った。
 しかしいまは国を破壊するのではなく、国を解放したのだ」

 日独との戦争も「解放」であったとの歴史認識を示しつつ、大統領は米軍の力を誇示する。デモクラシーの伝道者は力の信奉者でもある。

 対テロ戦争の継続を強調し、「捕囚たちよ、出てきなさい。暗闇の中にいる者たちに自由を」といふ旧約聖書の預言者の言葉を引用し、いつものやうに「皆さん方と米国に、神の御加護がありますやうに」との祈りで締め括られる演説は、米国民の大多数が聞いた。

 演説直後におこなはれたギャロップ世論調査によれば、八二%が「すべて聞いた」といふ。評価も高く、「たいへん肯定的」が六七%、「やや肯定的」が二五%であった。また、この戦争によって米国の対テロ戦争は「容易になった」と考へる国民は七五%、大量破壊兵器が発見されなくてもイラク戦争を「肯定する」は七九%に達した。イラク戦争が対テロ戦争の「転換点になった」と考へるのは三一%、対テロ戦争は「ほぼ達成された」は四九%であった。


 イラク人によるイラク建設の成否

 しかし、イラク戦争の歴史的評価が定まるには、今後、長い時間を要するだらう。

 たとへばレバノン生まれのジャーナリスト、マアルーフの『アラブが見た十字軍』には、われわれの常識とは異なる歴史が描かれてゐる。

 十一世紀末、「野蛮」な欧州のキリスト教徒が「宗教的熱狂」に駆られて中東に遠征し、「聖地」エルサレムを奪還しようとした。ローマ法王ウルバン二世の提唱に始まり、キリスト教徒は二百年間、地中海東岸を襲ひ、占領し、破壊と殺戮の限りを尽くした。キリスト教徒にとっては「聖戦」だが、アラブ人には紛れもない「侵略」で、以後、アラブの衰退が始まる。

 アラブ人は侵略者たちを「フランク」と呼んだ。それから九百年後、カタールの前線司令部に陣取り、イラク戦争を指揮した米中央軍司令官の名が「フランクス」だったのは、偶然の符合といふにはできすぎてゐる。

 ブッシュの演説で、人々の関心は、大量破壊兵器の発見、国内の治安恢復、イラク人による新政権の樹立に移った。破壊と建設は、人類が愚かにも繰り返してきた歴史だが、復興は破壊より遙かに長い時間と資金と労力を要する。独裁者は倒れた。

 しかし、ブッシュも言及してゐるやうに、この先、イラク人は、リンカーン流の「イラク人の、イラク人による、イラク人のための政府」を打ち立て得るのか。

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宗教家が反対し、国民が支持するブッシュの戦争 [アメリカ]

以下は「神社新報」平成15年4月7日号からの転載です


宗教情報
宗教家が反対し、
国民が支持するブッシュの戦争


 教会よりメディアに従ふ米国人

「アメリカとアメリカを守るすべての兵士たちに神の御加護がありますやうに」──。

 ブッシュの対イラク戦争は、清教徒たちによって建国されたこの国に相応しく、宗教性を伴ふ開戦宣言で火蓋を切った。

 アメリカ国民の大半は大統領の決断を支持してゐる。

 ギャロップ社の世論調査によると、三月十七日(現地時間)のブッシュ大統領の最後通告直後、アメリカ国民の六六%が、フセイン大統領が二十四時間以内に国外退去しない場合の開戦を支持してゐたし、開戦後の二十一日段階では、六〇%が開戦を「強く支持」、一六%が「支持」した。国民の四人のうち三人までが対イラク攻撃に賛成したのに対して、「強く反対」「反対」はそれぞれ一五%、五%にとどまった。

 75%が開戦支持

 アメリカ国民の高い支持は、大統領の演説から想像されるやうに、キリスト教会との深い関はりの結果なのかといへば、さうではない。逆にキリスト教会は早くから戦争反対を表明してきた。

 ローマ法王ヨハネ・パウロ二世は平和的解決が中断したことに「遺憾」の意を表明し、アメリカ・カトリック司教団は「戦争が避けられなかったのはきはめて残念」との声明文を発表した。

 9・11同時テロ後、歴代大統領が参列して追悼式がおこなはれたワシントン・ナショナル・カテドラルはイギリス国教会(聖公会)の大聖堂だが、アメリカ聖公会総裁のグリスウォルド主教は開戦の前日、「戦争と戦争の脅威とは、愛する者や親しき者たちすべての幸福を脅かす」との書簡を公にしてゐる。

 また、世界百二十カ国以上のプロテスタント教会で組織される世界キリスト教協議会は「戦争に勝利はない」と開戦後、声明してゐる。

 宗教指導者が軒並み反対するブッシュの戦争を、多くのアメリカ国民が支持するのは何故か。

 じつはアメリカ国民の多くは、今回の開戦に関して、宗教指導者たちの説教や声明にほとんど影響を受けてゐないといふことが、世論調査で明らかになってゐる。

 開戦の数日前に成人千三十二人を対象に実施されたPEWリサーチ・センターの調査によると、開戦支持か不支持かについて、「宗教的信念に最も影響を受けた」のはわづか一〇%。定期的に教会に通ってゐる信徒でさへ一七%にすぎない。代はって、国民の判断に大きな影響を与へてゐるのはメディアで、四一%にのぼる。

 戦争是認が77%

 同性愛や中絶など倫理的問題の是非については宗教的信念を重視するアメリカ人が、イラク開戦に関しては異なる対応を見せる。回答者の一五%は、宗教指導者は戦争について「しゃべりすぎ」と考へてゐるほどだ。

 アメリカ国民は宗教的にではなくて、現実的、政治的に判断してゐるといふことだらうか。

 カトリックやプロテスタント主流派、黒人のプロテスタント教会ではたいてい戦争反対の説教を聞かされる。例外はプロテスタント福音派で、それかあらぬかブッシュ大統領は福音派の著名なテレビ伝道師ビリー・グラハムから再洗礼を受けてゐるのだが、イラク攻撃に対する支持は、福音派(白人)の信徒では七七%、カトリックとプロテスタント主流派がともに六二%、黒人プロテスタントが三六%、無宗教では四四%を占める。

「殺してはならない」「敵を愛せ」が聖書の教へだが、国民の七七%は、一般論として、戦争は倫理的に正しいと信じてゐる。

 他方、戦争に反対する国民の場合も、四二%が宗教指導者は「言葉が足りない」とみる。国家存亡の時にあって現実に命を捧げなければならない国民にとって、宗教指導者たちの説教が「浮世離れ」と感じられても不思議はないかもしれない。

 アメリカ国民にとっての戦争は、賛否の如何を問はず、宗教指導者とは別の次元で戦はれてゐる。
 
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