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ネット時代に生きる占領中の国語政策──カンマに固執する宮内庁 [国語問題]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」からの転載です


 きのうのブログで、宮内庁のホームページに「、」「。」の句読点ではなく、「,」のカンマが使われていることを指摘したら、お読みになったある読者が宮内庁に照会されたそうです。

 それによると、宮内庁は「公用文作成の要領」(内閣官房長官から各省庁次官あて依命通知、昭和27年4月4日)に沿っている、ということのようです。

「要領」は文化庁のホームページに載っています。
http://www.bunka.go.jp/kokugo/main.asp?fl=show&id=1000006860&clc=1000000068&cmc=1000005514&cli=1000005536&cmi=1000005551

 句読点については、「第3 書き方について」に説明があります。
http://www.bunka.go.jp/kokugo/main.asp?fl=show&id=1000005568&clc=1000000068&cmc=1000005514&cli=1000005536&cmi=1000005557

 これによると、書類を書く場合、「なるべく広範囲にわたって左横書きとする」「横書きの場合、アラビア数字を使用」、そして「句読点は、横書きでは『,』および『。』を用いる」となっています。

 文化庁のホームページには、「解説」が付いています。
http://www.bunka.go.jp/kokugo/main.asp?fl=show&id=1000006789&clc=1000000068&cmc=1000005514&cli=1000005536&cmi=1000005551

 これには、昭和26年10月30日に国語審議会会長から内閣総理大臣・文部大臣あてに建議され、11月1日に次官会議で了解され、翌2日に閣議で供覧され、昭和27年4月4日付けで内閣官房長官から各省庁事務次官あてに依命通知(内閣閣甲第16号)された、と説明されています。

 まるで日本語を英文化するかのようなコンマ使用の推進役は、文部省の国語審議会であることが分かります。

 当時の文部省が、つまり占領中の文部省が、なぜ日本語の「英文化」を進めようとしたのでしょうか。

 以前、戦中・戦後の国語政策について調べたことがあります。

 東条内閣時代、漢字制限など日本語の合理化が進められたことがあります。政府の改革には、日本語を占領政策の道具に使おうとする軍部の思惑がありましたが、それらのもくろみは政府の統制政策を快く思わない保守派の反対で阻止され、内閣が倒れていくきっかけともなりました。

 ところが、戦後、占領中の国語改革は、東条内閣時代の精神と人材を引き継ぎ、漢字制限と現代仮名遣い化が推進されました。国語学者らは「20年来の懸案」と表現したほどで、東条内閣の力をもっても果たせなかった自分たちの悲願を、こんどはGHQの強権を借りて実現しようとしたのでしょう。

 しかしその後、とくに漢字制限については、かなりの見直しが進みました。たとえばやはり占領中に制定され、大幅に制限されていた人名漢字は昭和50年代以降、緩和されてきました。

 そのことからすると、独立を回復してから50年以上が経ったいまなお、句読点に「,」を使うという、どう見ても違和感を感じざるを得ないし、美しくもない、占領中の国語政策が生きているというのは驚きです。

 しかも首相官邸のホームページも、文部科学省のホームページも、カンマは使っていないようです。どうして文化庁や宮内庁がカンマに固執しなければならないのでしょうか。

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