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読売のスクープが「きっかけ」なのか ──竹田恒泰氏の「女性宮家」反対論を読む [竹田恒泰天皇論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


 前回も取り上げた竹田恒泰氏の連載に、いわゆる「女性宮家」創設問題に関する記事が2本載っているので、読んでみたい。

 あらかじめお断りしておくが、竹田氏に個人的な恨みがあるわけではない。少しでも真実に近づきたいと考えるだけである。


▽1 にわかに浮上した?

 竹田氏は連載の第11回で、「女性宮家」創設が「禁じ手」だと指摘している。

 コラムによれば「女性宮家」創設案は「にわかに浮上した」ことになっている。読売新聞の平成23年11月25日付、「『女性宮家』の創設検討」というスクープ記事がきっかけだと竹田氏は理解している。

 読売の記事によると、宮内庁は「女性宮家」創設の検討を「火急の案件」として野田総理に要請したというのである。

 どこまで具体案が検討されているか、真相は不明だが、スクープがきっかけになり、皇室制度の議論が蒸し返されることになった、と竹田氏は指摘している。

 そのうえで、女性宮家創設は女系継承を容認することになる。「女系天皇論者」は陛下のご体調を慮る国民の感情を巧みに利用して、女性宮家創設の皮をかぶった女系天皇容認の新たな攻勢を仕掛けてきた。これは「禁じ手」だ、と主張している。

 ただ、容認し得る女性宮家創設の方法が1つだけある。女性皇族の「婿」を旧皇族の男系男子に限定すれば、男系主義は守られる、と竹田氏は述べている。


▽2 怪しげなスクープ

 竹田氏が言わんとするところは十分に理解できる。けれども、当メルマガの読者ならご存じの通り、事実関係についての理解は正確とは言いがたいと思う。

 1つは、「女性宮家」創設の議論は読売のスクープが「きっかけ」だとしても、創設論それ自体は「にわかに浮上した」のではなく、従来からあったのである。

 竹田氏の文章は、読売の記事について、「宮内庁が要請」と引用している。じつは記事のリードには「宮内庁が首相に要請」とあり、記事本文は「長官が首相に伝えた」とある。こうした記事の書き方に、竹田氏は違和感を覚えないのだろうか。

 しかも、のちに羽毛田長官は「首相に要請」という報道を「強く否定」している。

 よくありがちなことだが、かなり怪しげなスクープ記事だということになる。

 しかし誤報なら宮内庁は抗議すべきだが、抗議したとは聞かない。宮内庁関係者が「女性宮家」創設を主張していることは間違いない。読売の記者は、以前からの議論を蒸し返すために、リークされ、利用されたのではないか。


▽3 もともと同じ議論

 2つ目は、「女性宮家」創設論はもともとが女系継承容認論と同一の議論だということである。竹田氏が理解するように、「天皇陛下の御体調を慮る国民の感情を巧みに利用したものであり、女性宮家創設の皮をかぶった女系天皇論」どころではない。

 産経新聞の阿比留瑠偉記者のスクープ記事(平成18年2月17日)によると、平成8年に宮内庁内で皇位継承制度に関わる基礎資料の作成がスタートしている。

 阿比留記者の記事には「女性・女系天皇、『容認』2年前に方針、政府極秘文書で判明」という見出しがついているが、政府・宮内庁内部で「女性宮家」創設論は進められていたのだった。

 というのも、もうひとつのスクープ、「文藝春秋」平成14年3月号に載った、森暢平元毎日新聞記者の記事「女性天皇容認!内閣法制局が極秘に進める。これが『皇室典範』改正草案」によると、「女性宮家」と「女性天皇」は同じなのだった。

「女性天皇を認めた場合、一般の女性皇族にも皇位継承権があり、基本的には結婚しても皇室に残ることになる。つまり、必然的に女性宮家が認められる。いわば、女性天皇と女性宮家は表裏の関係で、検討案の『2つの柱』は、突き詰めると1つと見なせる」


▽4 13年後の反対論

 いつ、だれが、何のために「女性宮家」創設を言い出したのか、を明確にしないまま、賛成か反対かを議論しても、混乱するのは当たり前だろう。

 竹田氏は、読売のスクープが、つまり、羽毛田長官が「女性宮家」創設論の言い出しっぺだとほんとうにお考えなのだろうか。

 現代はデジタル時代で、大手全国紙の記事検索や国会図書館の検索エンジンを使えば、「女性宮家」なる新語がいつから使われるようになったか、容易に調べ上げることができる。一度、ご自身でお調べになってはいかがだろうか。

 雑誌「選択」平成10年6月号には、「『皇室典範』改定のすすめ──女帝や養子を可能にするために」が載っている。

「皇族女子は結婚すれば皇族の身分から離れるが、これを改め、天皇家の長女紀宮が結婚して宮家を立てるのはどうか。そこに男子が誕生すれば、男系男子は保たれる」

 男系と女系を混同する致命的な誤りを犯しているものの、私が知るところ、女帝容認を問題提起するもっとも先駆的な記事で、同時に「女性宮家」創設を提案している。

 このころすでに政府・宮内庁関係者は「女性宮家」創設論に固まっていたのであろうか。そうだとすると、それから13年もあとの読売のスクープなるものをきっかけに議論が始まった、と理解する「女性宮家」反対論者の議論を、彼らはどのように読むだろうか。

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